腰痛ラボ

腰痛の悩みが和らぐ、腰痛改善を一緒に考えるラボ

【腰痛スペシャリスト】
骨格筋評論家
岡田隆氏 特別編 前編

腰痛スペシャリスト#16 岡田隆氏(骨格筋評論家)

【腰痛改善レシピ】

今回は、岡田隆先生に再度ご登場いただき、特別編としてご著書の『骨格バランス 改善メソッド』(ナツメ社)を参考にしながら、腰の痛みや不調を改善するためのレシピを前編・後編に分けてご紹介します。同書では痛みや不調の成り立ちを知り、それに応じた対処を自分で行う「セルフ理学療法」を実践することができる画期的なアプローチが提案されています。

—— 本のタイトルにもなっていますが、私たちの肉体的な不調のほとんどは“骨格バランス”の歪みから生じており、歪みの成り立ちを理解して適切な対処を講じる「セルフ理学療法」を実践することができれば、体に生じる痛みや不調のほとんどは自分自身で改善できるということですね。以前、骨格バランスが崩れる原因について詳細にご説明いただきました。

岡田隆先生(以下、岡田)

   はい。腰痛も原因を知り、それに応じた正しい方法で「マッサージ」「ストレッチ」「筋トレ」を継続的に行えば自分で改善して再発を予防することもできます。また、骨や椎間板の変形や損傷等、医療機関での治療を要するものに関しては、何もなかった元の状態に完全に戻すことは不可能ですが、セルフ理学療法によって、元の状態にできるだけ近づけることは可能です。

—— なるほど、それではこれより『骨格バランス改善メソッド』を参考に岡田先生の解説も交えながら腰痛改善メソッドを紹介していきたいと思います。
今回は「腰痛ラボ」への問い合わせが最も多い【ぎっくり腰】の改善レシピをご紹介します。

*痛みが強い状態では無理をせず、痛みが治まってから始めてください。

[マッサージ]筋肉の緊張やコリをほぐすことで血流が促される。

[ストレッチ]筋肉の柔軟性を高めるのでコリにくい筋肉作りに有効。血管を筋肉の圧力から解放して血流を促す。

[筋トレ]  弱い筋肉を強化することで正しい体のバランスを維持。

 
マッサージもストレッチも筋肉を伸ばしますが、押すことで短軸に向かってアプローチするのがマッサージ、長軸に向かって伸ばすのがストレッチです。まず、マッサージで患部を重点的に伸ばし、ほぐした上でストレッチを行うと効果的です。
マッサージとストレッチを行う目安は2日に1度、できる方は毎日。筋トレは2〜3日に1度の実施が目安です。
 
【ぎっくり腰】
緊張や疲労で硬くなった腰部の筋肉や関節組織が、前屈動作等の腰に負担のかかる動作によって突発的に損傷や炎症を起こす急性腰痛。筋肉系の損傷と関節組織系の損傷に分けられる。
まず、腰に負担をかけない状態で安静に過ごし、炎症が治まったら硬くなった腰部をほぐしていきます。

* 入浴で腰を温める

* フォームローラーの上に仰向けに寝て脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん/背骨に当たる脊柱の背側に位置する筋肉)、硬くなった腰椎まわりの緊張をほぐす。

* マッサージボールを使い炎症で硬くなった部分をほぐす。

 
[脊柱まわりのストレッチ]
骨盤から背中を丸めて脊柱起立筋、腸肋筋(ちょうろくきん/脊柱起立筋の最も外側にある筋肉)を伸ばす。

① 仰向けに寝たら両足を揃えて振り上げ、両手で両足首をつかむ。(腰の下にクッションを入れると足を振り上げやすい) 

② そのまま足先が頭の上の床に着くくらいまで下ろす。息を吐きながら行うと背中が丸まりやすくなる。この状態を20〜30秒キープ。 

[脊柱ひねりストレッチ]
腰をひねることで脊柱まわりの回旋筋群(かいせんきんぐん/脊柱の最深部にあるインナーマッスルである横突棘筋(おうとつきょくきん)の最も下に位置する)を伸ばす。
 

① 仰向けに寝て両腕を肩の位置に広げて上体を安定させ、太ももが垂直になるように片膝を上げる。上体は力を入れずリラックス。

② 息を吐きながら、上げた足を内側に倒し腰をひねる。太ももや膝を手で押してひねる動きをアシストする。この時、使わない方の腕、肩が床から浮かないようにする。これを左右20〜30秒ずつ行う。


[ドローイン(筋トレ)]
腹横筋を鍛えることで、腹圧によって腰椎を安定させる。

① 背筋を伸ばし手を腹部に当てる。こうするとお腹を凹ませる動きが意識しやすい。

② ゆっくりと息を吐きながら、できる限りお腹を凹ませる。脇腹やおへその深部に力が入っているのを感じる。お腹を凹ませた状態で静かに呼吸しながら20〜30秒キープ。ぽっこりお腹を引き締める効果も。

 
[ぎっくり腰の日常対策]
小さなことの積み重ねが予防対策に。

① 骨盤を動かす。

② 入浴で腰を温め血行を促進。

③ 骨盤を立てて正しい姿勢で座る。

④ 背中の曲げ伸ばしで脊柱まわりの筋肉や関節組織を伸ばして腰部の緊張をほぐす。

⑤ 床に落ちたものを拾う時には足を前後に開き、腰をまっすぐにしたまましゃがむ事で腰への負担を軽減させる。

⑥ 太もも裏を伸ばし、柔軟性を維持することで、骨盤が後傾して腰が丸まりにくくなり腰痛予防に。


いかがでしたか?
後編では前屈できない、腰が反らせない、猫背といった症状を改善するレシピをご紹介します。
 

岡田隆 氏 骨格筋評論家(バズーカ岡田)
日本体育大学体育学部准教授、理学療法士、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー、NSCA CSCS、JATI-AATI
1980年、愛知県生まれ。
日本体育大学大学院修了(体育科学修士)、東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程単位取得満期退学。
専門領域はトレーニング科学、アスレティックリハビリテーション。現在はJOC強化スタッフとして柔道日本代表チームの体力強化部門長を務める。
現役ボディビルダーとしても活動中。
著書に『骨格バランス改善メソッド』(ナツメ社)、『プロが教える骨と関節のしくみ・はたらき パーフェクト事典』(ナツメ社)、
『除脂肪メソッド』(ベースボールマガジン社)、『無敵の筋トレ食』(ポプラ社)ほか多数。
公式サイト https://bazooka-okada.jp/

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