腰痛ラボ

腰痛の悩みが和らぐ、腰痛改善を一緒に考えるラボ

【腰痛スペシャリスト】
神楽坂ホリスティック・クーラ
石垣英俊氏 前編

腰痛スペシャリスト#12 石垣英俊氏(神楽坂ホリスティック・クーラ)

知っておくと安心、ギックリ腰に効果的な4つのポイント.

今回お話を伺ったのは、腰痛の改善を体系化し、それぞれに合った腰痛改善メニューを提案する『腰痛の実学』の著者であり、“背骨リラックス”をコンセプトに掲げる「神楽坂ホリスティック・クーラ®」代表である石垣英俊氏。前編では腰痛の仕組みについて伺いましたが、後編では「ギックリ腰」の原因とすぐにできるマッサージを教えていただきます。

—— 急性腰痛症、通称「ギックリ腰」は、腰痛のない人でもなるものでしょうか。

石垣英俊さん(以下、石垣)

   はい、それまで慢性的な腰痛がなかったという方でもなることがあります。

—— その原因としてはどんなことが考えられますか。

石垣 加齢、過労、過信、油断・・・様々な原因が考えられます。もともと腰痛のある人はもちろん可能性は高いですし、ギックリ腰の経験がある人が繰り返しやすいというのも事実です。それは、ギックリ腰が治ったと思っていても、実は背骨、骨盤、関節や筋肉などが整った状態に戻っておらず、疲労やほんのちょっとしたきっかけでまたなってしまうということがあるからです。腰痛には前編でお話ししたような様々な原因が考えられますが、医療機関での治療が必要な疾患もありますので要注意です。

—— 前編で伺った「見える腰痛」ですね。

石垣 はい、椎間板ヘルニア、脊椎分離すべり症、脊椎圧迫骨折、脊柱管狭窄症など。症状が数日経っても改善しなかったり、腰の痛みが治まった後にお尻や足にしびれが生じた場合は、医療機関を受診されることをお勧めします。

—— わかりました。ギックリ腰になるのは朝が多いように思うのですがどうなんでしょうか。実は私も朝、ギックリ腰になりました。

石垣 確かに朝は危険ですね。腰椎の間で衝撃を吸収するクッションの役割を果たしている椎間板は、睡眠中に水分を吸収します。つまり、朝は椎間板がみずみずしい状態であると同時に傷つきやすい状態ともいえるのです。ですから、朝起きた時になんとなく腰に不安を感じた時には、ゆっくり動くことが大事です。そして、壁に手をついて体を支えながら腰椎の正しいカーブを整えてみるとか、腹筋に意識を向けるなど、ちょっとした対処法は有効です。それでも不安な時にはコルセットを巻くのもいいと思います。

—— やはり、朝は椎間板が傷つきやすい状態なのですね。注意して動きます。

石垣 くしゃみでも椎間板に大きな負担がかかります。また、筋肉の疲労や筋挫傷によって腰まわりのバランスが崩れた状態もギックリ腰を引き起こしやすいんです。特に体が温まっていない朝はそうなりやすい。筋肉自体や筋膜の問題、関節や椎間板などの組織に生じた微小な損傷(以下、傷)なども腰痛とは密接です。そうした傷もちょっとした動きで大きくなり、防御反応でまわりの筋肉が過剰に緊張を起こす(スパズムともいいます)ことで動けないほどの激痛が生じるんです。

—— 運動不足も原因になりますか?

石垣 はい、運動不足によって腰まわりの筋肉や関節の柔軟性が損なわれると、不安定な状態かつアライメントがくずれるため腰椎に負担がかかることに。ぜひ、前編でお話ししたさまざまな原因をもう一度、確認してみてください。繰り返すようですが、筋肉や関節などに生じた小さな不具合、気付かないような小さな怪我が繰り返されることで後々、大きな痛みにつながることもありますから、柔軟性を保つことは大切なのです。

—— なるほど、体の表面なら傷ついたことがわかりますが、それが体の内部で起こっているとなかなか気付きませんね。

石垣 そうですね。特に腰椎をはじめ背骨の関節の状態は自分ではわかりにくいものです。長く歪や動きの問題があれば、感覚もおかしくなってしまいますので。
それから話が変わりますが、風邪のひきはじめや、気象・気圧の変化などが腰痛や頭痛を引き起こすこともあります。自律神経の乱れもあいまって、痛みや不調を生じます。

—— なるほど。やはり、正しい姿勢、正しい体の使い方を見直すことがギックリ腰を防ぐことになるのですね。柔軟性も大事だし、気圧の変化にも注意が必要ですね。それでもギックリ腰になってしまった時、まずすべきことはありますか。

石垣 まず焦らないこと。そして、ギックリ腰は急な動きがきっかけで突発的に起こることが多いので、ゆっくりと動かしてみてください。そして、具体的な対処法として押さえると効果的な4つのポイントをご紹介しましょう。


   ① 【委中】(いちゅう)

石垣 膝の裏側にある横シワの中央にある委中(いちゅう)は、腰痛に効果があるポイントです。ここが緊張すると、ふくらはぎも腿の裏も緩まなくなって、膝のねじれや腰痛を引き起こします。
指の腹でコリコリしたところを捉えたら、ここにはリンパ節や神経、血管も密集しているので、優しく押さえてマッサージしてください。坐骨神経痛や膝の痛みにも即効性が期待できるポイントです。

   ② 【かかと〜アキレス腱】

石垣 中医学(東洋医学)では足首と腰は密接な関係にあると考えます。アキレス腱もかかとも筋膜のバックラインで腰とつながっていますので、この部分のしこりや緊張が、腰痛の原因になることがあります。
椅子に腰掛けて、足首を太ももの上にのせて行うと楽にできます。アキレス腱からかかとの骨を親指と人差し指で挟み、かかとの骨が感じられるあたりから内くるぶしの上あたりまでマッサージします。腰が痛いときでも腰に負担がかからず、安心して行えるマッサージです。びっくりするくらいよく効きくこともありますよ。

   ③ 【殿筋】

石垣 お尻の外側には、歩いたり立ったりするのに必要な中殿筋と小殿筋があります。まず、骨盤の位置を確認し、大転子(骨盤の横の出っ張り)と腸骨稜(骨盤の上辺)の後ろのでっぱり(上後腸骨棘)をつないだライン上の真ん中あたりを中心に押します。ここの筋肉のバランスが崩れると、姿勢や歩行に影響が出るだけでなく、骨盤のゆがみも生んで腰痛を引き起こします。また、筋肉のアンバランスは、バッグや荷物を同じ方の手で持ってしまうといった生活習慣でも引き起こされますが、足首の捻挫等の怪我がきっかけで起こることもあります。
自分で押さえるのが難しいときは、殿部の下にテニスボールを置いたり、テニスボールを手で押し当てると行いやすいでしょう。ギックリ腰の痛みを緩和させることにおいて再現性の高いポイントです。

   ④ 【中封】(ちゅうふう/ちゅうほう)

石垣 足にはたくさんの小さな骨が集まっています。足首前部にあるツボ、中封の奥には距骨という筋肉の付いていない骨があります。これは要石になる大切な骨で、距骨が正しい位置にないと、足首の関節がきちんと連動せず、膝関節や股関節に過剰な負担がかかってしまいます。足の甲にもう一方の足のかかとを当て、膝を上下に動かしてゆっくり気持ちよく感じられる強さで踏みます。中封は下腹部の血流を促す効果も期待できるツボです。このとき、壁に手をつくなどして体を支えておくと安心です。

—— 4つ教えていただきましたが、どれも腰が痛いときでもできそうですね。

石垣 はい。でも、決して無理はせず、痛みが長く続く時には、医療機関を受診してください。でも、これらを知っておくだけでも、少し気持ちが楽になると思います。そういう安心感もストレスを緩和してくれます。腰痛同様、ギックリ腰の原因も多様です。ギックリ腰になってしまったら、それをきっかけに、自分の体と向き合い、姿勢や生活習慣、運動不足、過労やメンタルストレスなども見直してみてください。

—— 前編・後編と、とてもわかりやすく解説していただき、ありがとうございました。

 
 

教えていただいた4つのマッサージは、すべて日常的に行ってもいいもの。さっそく行ってみようと思います。急激な気象の変化も腰痛の原因になるとは、人間も自然の一部だということを痛感します。椎間板がぷるぷるの朝は要注意、ですね。
 
 

神楽坂ホリスティック・クーラ
TEL:03-3269-8785
石垣英俊氏(CURA株式会社 代表取締役、「神楽坂ホリスティック・クーラ®」代表、>セラピストカレッジ「ナーチャ」校長)
鍼師、灸師、按摩マッサージ指圧師、オーストラリア政府公認カイロプラクティック理学士(B.C.Sc)、応用理学士(B.App.Sc)。
中国政府認可世界中医薬学会連合会認定国際中医師。全米ヨガアライアンス200h修了ヨガインストラクター。日本ヨーガ療法学会認定ヨーガ教師。
東西の智慧を独自に融合させた新メソッド「アラウンドセラピー®」を主宰。
著書に『コリと痛みの地図帳』(池田書店)『背骨の実学』(池田書店)『痛みと不調を根本から改善する 背骨の実学』(池田書店)
『背骨、骨盤、足から治す 腰痛の実学』(池田書店)ほか多数。

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