腰痛ラボ

腰痛の悩みが和らぐ、腰痛改善を一緒に考えるラボ

【横田真一さん 前編】
「プロゴルファーは腰痛知らず!
 腰が張ったら有酸素運動、アイシング、ストレッチ」


「プロゴルファーは腰痛知らず! 腰が張ったら有酸素運動、アイシング、ストレッチ」

今回は、プロゴルファーであり、順天堂大学大学院で学ばれたことをゴルフに生かし、昨年出版された著書「成功する人は頑張らない」(主婦の友社)も話題の横田真一さんです。24年間、腰痛知らずという横田さんの貴重な2度の腰痛体験、ツアー中のコンディショニングケアなどについて伺います。

—— 私の周りでは、ゴルフが原因で腰痛やぎっくり腰になったという話をよく耳にします。もちろんアマチュアゴルファーの話ですが。そこでまず、プロゴルファーの腰痛事情を伺いたいのですが、横田さんは腰痛持ちですか?

横田真一さん(以下、横田)

   いえ、腰痛はありません。ヘルニアとか脊柱管狭窄症などの疾患がある人は別として、プロゴルファーにいわゆる腰痛持ちというのはいないんじゃないでしょうか。もちろん、ラウンドの後やツアー中に「腰が張る」ということはありますが、みんなどうやれば腰の張りを治せるかということがわかっているので、それ以上悪くなることはまずないでしょうね。

—— 軽く衝撃を受けましたが(笑)、なるほど、腰痛ではなく腰の張りなのですね。以前、元プロ野球選手の方にお話を伺おうと思い・・・その方は捕手だったので当然、腰痛持ちに違いないと決めつけて伺ってみたところ「腰が張ることはあっても腰痛はありません」と、おっしゃいました。やはり、プロのスポーツ選手は、みなさんきちんと適切なメンテナンスをされているということなんですね。

横田 そうですね。ただ、僕の場合は高校卒業直後とプロテスト前に腰を痛めたことはあります。

—— そうでしたか、まずはそのお話から伺いたいと思います。最初の腰痛が高校卒業直後、10代ですか?

横田 高校を卒業して大学に入学する前に、ジャンボ軍団(*)に入団したんです。ジャンボ尾崎さんは元・プロ野球選手なのでプロ野球選手のスタンダードのトレーニングをするんですよ。野球選手とゴルファーの運動能力の差はかなりあるので、ゴルファーにとっては相当厳しいものでした。

—— でも、中学、高校と体を鍛えておられたのでは?

横田 僕は走るのが苦手で、中学の頃はあまり走らないだろうな、という理由でテニス部に入部しました。ジャンボ軍団のトレーニングの厳しさについては覚悟はしていましたが、実際問題さすがにいきなりは厳しいだろうと思い、入団前には毎日6キロ走りました。トレーニングの厳しさもさることながら、入団して1週間くらいした時に、雪が降って雪かきをしたんですよ。それで腰を傷めてしまいまして・・・2週目からは僕だけ別メニューでトレーニングを続けていたんですけど、ジャンボさんに「そろそろ水戸に帰ったほうがいいんじゃないか」と言われ・・・

—— 腰痛によりジャンボ軍団を退団されたのですね。

横田 入団期間は2週間という、情けない思い出です。今にして思えば入団前にいきなり走ったのも良くなかったんでしょうね。

*ジャンボ軍団 プロゴルファーのジャンボ尾崎こと尾崎将司が兄弟や後輩らと結成。自主トレーニングを行ない、多くのプロゴルファーが団員としてトレーニングに参加した。

—— 10代という若さでも腰痛になるということですね。もう一度腰痛になられたのはいつでしょう?

横田 プロテストを受ける前ですね。とにかくものすごく練習しましたから。人生で一番練習したのがプロテスト前だと思います。僕はドライバーが苦手だったので、毎日150〜200は打ちましたからね。腰痛になって、鍼を打ってもらってなんとかしのぎながら、無事に一回で合格できました。でも、あの時の腰痛は人生最大のピンチでしたね。

—— それは、ぎっくり腰ではないのですね。

横田 腰を酷使したことによる負担の蓄積、筋・筋膜性腰痛(*)ですね。その時以来、もう24年間、腰痛はありません。腰が張ることは頻繁にあるんですけどね。

*筋・筋膜性腰痛 スポーツ活動等によって背筋に過剰な負担がかかり、筋膜や筋肉の損傷によって引き起こされる腰痛の一種。

—— きちんとその都度、メンテナンスをされて腰痛にはならないということですね。そのあたり、プロの腰痛・・・ではなく、腰の張ったときのメンテナンスについて詳しく伺い、参考にしたいです。

横田 プロゴルファーは毎週のようにトーナメントがあるのですが、そのツアー会場にはフィットネスカーと呼ばれるトレーラーが帯同していて、選手の体のコンディショニングのケアをしてくれたりトレーニングもできるんです。移動式の治療室のようなものですね。

—— 中はどのようになっているのですか。

 

横田 ベッドが3、4台とそれぞれにトレーナーさんがついて、あとはエアロバイクが3台あります。実は、ツアー中に腰が張るのはもちろんなのですが、オープンウィークという休みの期間に、家でゴロゴロしていたりして腰痛になる場合が結構多いので、休み明けはエアロバイクが渋滞します。みんな、汗をかけば治ることがわかっているので、20分〜30分エアロバイクを漕いで、有酸素運動をするわけです。皆さんも、お正月休み、ゴールデンウィークに家でゴロゴロしていて腰痛になったという経験、ありませんか?

—— あ、あります、あります。他にはどんなことをなさるのでしょう。

横田 アイシングですね。痛めたところは必ず冷やす。温かいお湯と冷たい水に交互に入る温冷交代浴ならそれが楽に行えます。本当に痛みがひどい時には、バスタブに氷を入れることもあります。浸かるのが腰くらいまでなら心臓への負担も少ないですから。これ、結構みんなやってますね。

—— 温冷交代浴は血行が良くなって、疲労や冷え、むくみの解消に有効だそうですが、氷風呂ですか!マッサージも欠かせないのでしょうか?エアロバイク、アイシング、マッサージ?

横田 張っている腰を揉めば、緩んで楽になりますが、筋肉が緩んで力が入らなくなるんです。翌日も試合があるときにそれをやって、マッサージで緩んだ状態の腰に無理に力を入れるとぎっくり腰になる危険があります。痛みが極限まで達している場合は、それを承知で緩めることもありますが。ですので、加減をトレーナーと相談しながら行いますね。

—— 加減には個人差がありますか?

横田 しょっちゅうマッサージをされている、マッサージ慣れしている方は大丈夫なんですが、僕は普段、ほとんどマッサージをしないので、マッサージをすると一気に緩んでしまう。マッサージをした後は体がだるくなるでしょう?その状態と運動はマッチングが悪い、とても危険なんです。僕には、筋肉が緩まないストレッチの方があっていると思います。エアロバイクで有酸素運動をして、アイシングをして、ストレッチをすれば、腰の張りは治ります。
だから僕は腰痛にはならないんですよ。

—— なるほど。24年、腰痛知らずの理由がわかりました。

横田 ラウンド中に腰が張ってくると集中できないんですよね。特にパッティングのときにイライラしてきちゃうんです。だから、ラウンド中でも腰の張りを感じたらストレッチをします。こんな風にして・・・

—— ストレッチについては後編で詳しく教えていただきたいと思います!


 

後編では、我々にも有効なストレッチ、順天堂大学大学院で学ばれたことなどをお話しいただきます。

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