腰痛ラボ

腰痛の悩みが和らぐ、腰痛改善を一緒に考えるラボ

【横田真一さん 後編】
「有酸素運動の目安は心拍数 自律神経を安定させるのは呼吸」


「有酸素運動の目安は心拍数 自律神経を安定させるのは呼吸」

今回のゲストは、プロゴルファーの横田真一さんです。前編では、24年前の腰痛経験、プロゴルファーの皆さんの「張った腰」の治し方などを伺いました。後編では、我々にもできる腰痛ケアやストレッチ、そして順天堂大学大学院で研究された内容についても伺います。

—— プロのスポーツ選手的には「腰の張り」、我々的には「腰痛」の、すぐにでも実践できる治し方はあるのでしょうか。有酸素運動は効果的ですね。

横田真一さん(以下、横田)

   まず、有酸素運動ですが、ポイントは心拍数を上げること。心拍数を目安にするといいと思います。40代なら120くらい、50〜60代なら110くらいが最適。息が上がる一歩手前、話すこともできるくらいの感じです。

—— エアロバイクでなくてもいいのですね?

横田 ウォーキングがいいと思います。僕たちプロゴルファーなら、時速8キロくらいのゆっくりのジョギング20分〜30分で心拍数120くらいになります。一般の方なら時速7キロくらいの早めのウォーキングでいいでしょう。

—— 編集部員に、ハワイでゴルフをした後に、普段は全くやらないジョギングをしてぎっくり腰になった者がおりますが、いきなりジョギングというのはだめですよね。

横田 走り慣れていない人がいきなりジョギングというのは無謀ですね。しかも、ラウンドの後で腰も張ってるはずですから。

—— 走る習慣のない人が走ろう!と決めた場合、どのように始めれば体に負担がかからず、且つ、続けられるのでしょう。秘策はありますか?

横田 きちんと行えば、有酸素運動は腰痛を治すのに非常に有効的ですからね。体に負担の少ない始め方としてはまず頑張って1ヶ月、ちょっと早めのウォーキングをしてください。時間は20分〜30分。走る習慣のない人は、走るのが好きじゃないから走っていないわけで、それをいきなり20〜30分走るというのは無理がありますし続かないでしょう。でも、ウォーキングならできるはず。1ヶ月、ゆっくりでいいので20分〜30分のウォーキングをしたら、次の1ヶ月も無理にジョギングをしない。わざとリミッターをかけるんですが、そうすると不思議なことに走りたくなるんですよ。今までウォーキングしていた20分がもったいないような気がしてくる。

—— 意外や意外、そういうものなのですね。深いです。

横田 まあ、ひと月は我慢できないと思うので、そうしたら早めのウォーキングから始めて、徐々に走るようにすればいいんです。要は焦らないこと。

—— なるほど、何事も焦って結果を出そうとしてはダメだということですね。時間の目安は20分。

横田 最低でも20分。20分くらいから体が温まり始めるので。焦らず、最初はゆっくりでいいのでじわじわと。有酸素運動でしっかり汗をかいて、血流をよくすればたいていの腰痛は治るはずです。有酸素運動は最低20分以上が有効なのですが、出来れば1時間近くする事がベストですね。
それと、ストレッチ。ひどい場合はアイシングですね。

—— プロの方々はトーナメント中ではなく、意外と休みの時に腰痛になったりする・・・というお話がありましたが、編集部の中にもお正月明けに腰痛、坐骨神経痛を発症した者がおりまして。有効なストレッチを教えていただけますでしょうか。前編で横田さんはラウンド中に腰が張った時にもストレッチをするとおっしゃっていましたね。

横田 はい、そんなに難しいストレッチではないし、1種類だけでいいんです。
前屈で筋を伸ばすストレッチです。肩幅くらいに脚を開いて立って前屈をします。ポイントは

足の指を掴んで反らせる。 首をぐっと中に入れるようにする。

普通の前屈では筋が伸びないのでこの2つのポイントをできるだけ守って行ってください。坐骨神経も伸ばせます。
これに捻りを加えるのもいいですよ。片手を伸ばして捻るようにします。


 

横田 原理は同じですが、段差のあるところに片足をのせて、そこで片足ずつ行います。これくらいの高さがちょうどいいですね。この時も足の指を掴んで頭を体の方に入れます。

—— ちょっと・・・いえ、けっこう痛いのですが、筋が伸びているのがわかりますし、気持ちがいいです。さっそくやってみます。
ところで、横田さんはプロゴルファーとして活躍されながら、順天堂大学大学院医学研究科医科学専攻修士課程を修了されていますが、どんなことを研究されたのか教えていただけますでしょうか。

   

横田 まず、2009年に順天堂大学の小林弘幸教授に「自律神経をコントロールできれば優勝できますよ」と言われて、自律神経について学び始めた翌年、13年ぶりにツアー優勝できたんです。それで、さらに自律神経に興味が湧いて、きちんと大学院で研究してみようと。
僕の修士論文は「プロゴルファーにおける自律神経とパフォーマンスの関係」というもので、自律神経が活発な人=元気な人ほど飛距離が出るということを100人くらいのプロゴルファーの方々にご協力いただいた計測結果をもとに証明、研究してまとめたものです。

—— コントロールとは?

横田 自律神経には、活動しているスイッチオンの状態で働く交感神経と、リラックスしたスイッチオフの状態で働く副交感神経があります。ゾーンに入る(=非常に高い集中状態)ためにはこのバランスが大事なんです。ただ、自律神経は自分の意思でコントロールすることが難しいのですが、唯一コントロールできるのが呼吸なんです。呼吸が浅いと酸素量も少なくなってパフォーマンスも落ちます。そして、血流も大事です。

—— 両方をもたらすための要となるのが正しい姿勢ですね。

横田 そうなんです。だから、正しい姿勢で立つこと、骨盤を立てて正しく座ることは自律神経のコントロールにもつながります。これ、実はゴルフのアドレスでも大事なことなんです。僕がレッスンにも取り入れている「レッシュ4スタンス理論」を確立された、廣戸聡一先生が、座っている時にも立っている時のような垂直の意識を持つことが大事だとおっしゃっています。長く座る我々日本人にとっては、特に座り方が大事なんですよね。

—— 正しい姿勢とは、体を最も効率よく使える、負担の少ない姿勢ですから。正しい姿勢=骨盤を立てて座ることで胸が開いて呼吸が深くなりますし。正しく座れば呼吸が整い自律神経も安定する。呼吸、血流、大事ですね。
24年間、腰痛知らずの横田さんですが、気をつけておられることはありますか?

横田 腰にきそうだなと思ったり、体に違和感を感じたら決して無理をしないということですね。我慢もしない。僕はとにかくすごく臆病なんですよ(笑)

—— でも、それが体へのダメージを最小限に抑えることに繋がっているのですね。ありがとうございました。

横田さんは臆病とおっしゃいましたが、無理をしないや我慢しないことは、時には勇気のいることだと思います。
腰痛改善のために走ってみようかなと思われている方は、ゆっくりゆっくり、ウォーキングからスタートしてみてください。じわじわと効果が現れてくるはずです。

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