腰痛ラボ

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【腰痛スペシャリスト】
[特別編]仲野整體 東京青山
仲野孝明氏 前編

腰痛スペシャリスト#9 仲野孝明氏(仲野整體 東京青山)

【特別編・前編】姿勢治療家Ⓡ仲野孝明氏にきく腰痛にならないためのポイント!

今回の『腰痛スポット探訪』は特別編です。前回の「仲野整體 東京青山」院長で姿勢治療家®仲野孝明氏のお話しが大好評。ということで、今回は特別編として再度ご登場いただき、前編では「腰痛にならないためのポイント」、そして後編では「腰痛になってしまったときのポイント」を、より具体的にご説明いただくとともに、すぐにでもできる(すぐにでもするべき)簡単なストレッチも教えていただきます。さあ、これを読んだら気持ちも新たにストレッチを始めてみてください。

—— 今回は、すぐに役立つ特別編として、まず腰痛にならないためのポイントとそのためのストレッチを教えていただきたいと思います。

仲野孝明さん(以下、仲野)はい。まず、腰痛やぎっくり腰(急性腰痛症)にならないために「正しい姿勢(=骨や関節が正しい位置にある)であれば腰を傷めることは無い」ということが大前提としてあります。これからご紹介するストレッチは、日常生活の中で間違ってしまった姿勢を改め、正しい位置に戻すためのものであることをまず、ご理解いただきたいと思います。

—— なるほど。と、いうことは“正しい姿勢”が大事だということはわかっていても、漠然とした“正しい姿勢”ではなく、背骨から骨盤の正しいポジションを理解して、それをイメージしながらストレッチをすることが大事だということですね。

仲野 その通りです。人間の背骨は横から見ると緩やかにS字のカーブを描いているのが正常な状態ですが、このカーブが壊れている方も多いんです。前回もお話ししましたが、私たち人間の体の構造は立って歩くことに適しています。ですので、極端に言えば腰痛にならないためには「座らない」(笑)。でも、そういうわけにはいきませんから・・・

ポイントその①【正しく座る】

仲野 体幹が正しく使えている状態というのは、自前のコルセット=筋肉、をちゃんと締めて体をサポートしているいわばオンの状態です。でも、お腹の周りの力を抜いて座るとこのコルセットがオフになってしまい体の一部に負担がかかって姿勢が崩れ、腰痛を引き起こすのです。

—— 立っているときの自前のコルセットがオンの状態のままで座るべし、ということですね。オンにするためのストレッチはありますか。

仲野 お腹が引っ張られてオンになっている状態を意識してキープするための背伸びのストレッチです。これは本来あるべき体のポジションを取り戻すことができる基本のストレッチです。


①背筋を伸ばし、脚を少し開いて座る。
②両手のひらを組み、真上に上げて大きくのびをする。(お腹を意識)
③のびをした腕を横から静かに下ろす。

仲野 こうやって正しい姿勢を意識して座るようにしてください。それから、正座しているときや立って壁に背中をつけたときは上半身が正しい状態ですので、これらを意識するというのもいいですね。逆に、足を組んで座るとお腹にテンションがかかりにくくなるので、足を組んで座るのは非常によくない習慣です。腰痛の準備をしているようなものなんですよ。

—— 何はともあれ足を組んで座るのは止めます。

*NG動作【足を組んで座る】【体育座り】【座椅子を使う】【壁にもたれて座る】

仲野 理想の座り姿勢は、坐骨に上体がのり、骨盤が起きて、上半身を支える筋肉への負担が軽くなっている状態です。この状態だと自然にお腹にテンションがかかります。坐骨を意識することが大事です。その逆、後ろにもたれる形のいわゆる“体育座り”や座椅子、壁にもたれて座るのもよくないですね。


ポイントその②【股関節を意識する】

仲野 股関節というのはとても大きな関節で、この関節の動きが正しい姿勢にはとても大事です。ですが、本来の動きができていない方が非常に多いことをご存じですか。

—— 確かに様々な動作で使っていますが、とりあえず動いているから大丈夫かなあと・・・

仲野 そう思われますよね。でも、実際は可動域がかなり狭くなってしまっているんです。フィギュアスケートで、足首を持って脚を高く上げる技がありますが、実はあのポジション、本来ならば誰でもできるんですよ。少々極端な例ではありますが、我々の股関節の可動域は明らかに低下してるということなんです。顔を洗うとき、重たい荷物を持ち上げるときなど、腰を痛めそうな動作の時には背中から曲げるのではなく股関節を意識して、股関節から曲げるようにしてください。股関節はこれです。大きな関節ですよね。

—— そういえばスポーツ選手は股関節が柔らかいという方が多いという話を聞いたことがあります。どんなストレッチをすればいいでしょう。

仲野 野球がお好きな方ならご存じだと思いますが、イチロー選手がよく試合中にしているあのストレッチ。あの動作も股関節ストレッチです。脚を広げて脚の付け根の部分が伸びるような感じがあれば股関節を伸ばしていることになります。つらいと感じる方は座った状態でも構いません。脚を広げて「腰を起こした状態で体を前に倒す」という動きで股関節を伸ばすことができます。股関節の可動域を広げることは背中の動きにも繋がります。股関節は腰痛にならないための、そして正しい姿勢の要なのです。

ポイントその③【胸の前のみぞおちあたりから歩き出すイメージで歩く】

—— ストレッチではありませんが、理想的な歩き方はありますか?

仲野 “歩く”というと、多くの方が股関節で歩くことをイメージされると思いますが、実はそれだと上半身は動かず平面の状態で、股関節だけで歩くことになってしまいます。背伸びで体を伸ばした状態で、胸の前のみぞおちのあたり、胸椎の12番と腰椎の1番の間のあたりから歩き出すイメージです。そうすると歩くという動作の中に背骨、腰椎に横の動きやねじれが必ず入るので、歩きながら自分でアラインメントを整えることができます。

—— すっとして、脚が長く見えますね。

仲野 そうなんです。人間は脚が長いんですよ。こうすると腰椎を自然に動かすことになりますので腰痛防止になります。立ち仕事が多くなって、歩いて移動するようになれば、腰痛の人はぐっと少なくなると思うんですけどね。

腰に悪そうなリクライニングシートでも、深く座って股関節を沿わせるように自分の体を倒していけば腰を痛めることはないのだそうです。まずは、骨格を知らなければ始まらない。それをイメージできるようになったら、日常生活の中で姿勢が崩れたな、と意識できる→そうしたらすぐにストレッチで正しい姿勢に戻していく。つまり、本来の動きができていない部分をみつけてメンテナンスしていくことが大事なのです。そのためのストレッチや歩き方は決して難しいことではないので、今からすぐ!始めてください。
 

仲野整體 東京青山
TEL:03-5766-1937
仲野孝明氏(「仲野整體 東京青山」院長)
姿勢治療家®、仲野整體柔道整復師、柔道整復師認定スポーツトレーナー
1973年、三重県生まれ。大正15年創業「仲野整體」四代目。2008年「仲野整體 東京青山」開院。
著書に『一生「疲れない」姿勢のつくり方』(実業之日本社)『長く健康でいたければ、「背伸び」をしなさい』(サンマーク出版)他多数

姿勢治療家®とは、“正しい姿勢”と“正しい体の使い方”から、10年後の健康のために治療する、筋骨格から健康を作る体の専門家。
「仲野整體 東京青山」は、来院者が本来の体を学び、取り戻す場所。

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