腰痛ラボ

腰痛の悩みが和らぐ、腰痛改善を一緒に考えるラボ

#3 伊藤大助氏
(洗足整形-形成外科 院長)

聖地巡礼#3 伊藤大助氏(洗足整形-形成外科 院長)

痛みの回路を絶つために医者に行こう!腰痛と医者の華麗なる関係性。

風邪や発熱、はたまた骨折、怪我をした。状況はどうあれ、自分の体に異変が起きると人はお医者さんに行く。では、腰痛はどうだろうか? 腰痛持ちの知人(結構たくさんいる)にリサーチをかけてみたが、ほとんどの答えが「整骨院やマッサージには行くけれど、医者に行くことはない」と。そんな人たちが思う疑問を払拭すべく、今回訪れた聖地は、目黒区は洗足にある洗足整形-形成外科。院長の伊藤大助先生に腰痛持ちは病院に行け! という話を伺った。

腰痛持ちの友人知人に聞いてみた。「腰痛で医者に行ったことはあるか?」と。答えはほとんど同じだった。「整骨院やマッサージには行くけれど、医者に診てもらうことはない」と。ぼくが医者に行かなくなった理由は、ぎっくり腰で医者に行っても、どう痛いかを聞かれ、ここが痛いかとかも聞かれ、足を動かしたりして、またどこか痛いかを聞かれ、押されて痛いかを聞かれ、挙げ句の果てに「ぎっくり腰」くらいの診察結果に電気治療かせいぜい腰を引っ張ってもらうくらい。という古い(20年以上前)記憶しかなく、だったら、接骨院に言ったほうが早く治るんじゃないか? という自分ない勝手な刷り込みがあったからなのであった。単刀直入に洗足整形-形成外科の伊藤大助先生にぶつけてみた。

北原徹(以下「北原」)

   腰痛で医者に行くということをなかなかしない人が多いと思うのですが、腰痛に対して、医者は有効なのでしょうか?

伊藤大助先生(以下「伊藤」)

   今の医療は診断学なので、診断がつけば治療が自動的にきまるという世界です。痛くてもマッサージや接骨院に行ったり、安静にしていたりということは、外科医からいうと患者さんには悪いですが、「残念だ」と思います。ただ、医者も悪くて、適当に診察して、電気治療をして、湿布をして。これでは、「ドラッグストアで湿布を買えば済むのに」となってしまいます。

北原 そうなんですよ。ぼくもそのタイプです。

伊藤 20年来の腰痛や、10年肩こりに悩んでいる人は、湿布などで過ごしているだけで、クリニックに行っていない人が多いです。痛かったらおとなしく休んでとか、マッサージすればいいという発想です。

北原 それでも、腰痛持ちの多くは、医者は揉んでさえくれないって思い込んでいます。

伊藤 でも、せっかく痛みの研究が進んでいるのだから、ただ休んでいればいいや、揉んでいればいいなんて江戸時代となんら変わりないわけで、痛みを絶つためには病院にいって診断をうけることをラボで啓蒙してほしいです。
普通は整形にきて、病気がないか確認し、そんなの揉んでいればいいですよと言われたらマッサージにいけば良いが、それは昔の先生のやり方です。今は、治療が決まればその方針でいけます。うちに来れば、その患者さんの症状を診て、リハビリを含めた方針を決めます。

北原 ちなみにぎっくり腰で、洗足整形-形成外科に来たら、どうするんですか?

伊藤 ぎっくり腰の人には注射をしましょうと言います。そうするとすぐに治って会社に行けるかもという人が多いです。痛みをブロックしますので「痛みを止めているだけで、治しているわけじゃないですよね?」と言われますが、痛みを止めること自体が治療であるから、一発で治せれば仕事ができるのです。ぎっくり腰は注射で治るんだという発想になります。完全にゼロではなくても働けているのなら、あとは湿布や薬でケア、フォローすればいいことです。動けずに3日間寝たきりで働けないなんてバカバカしいですね。

北原 なるほど。痛いから、動けない。動けないからまた体が固まって、より動けなくなる。だったら、痛みを取り除いてもらえれば、まず動けるってことですものね。

伊藤 そうです。まずは痛み止めです。その後のケアは牽引、電気をかける、マッサージなどをやれば良いし、うちでは診療方針を決め、考えてやっていきますが、炎症=火がもえているので、痛みどめ、点滴、注射、超音波などで、冷ます=消火するべきです。まずは、筋肉の炎症をどうおさえるかが重要です。マッサージなんて二の次三の次です。

北原 そう言われると今までのぎっくり腰経験、冷やすことも忘れて、ただマッサージだ、カイロで調整だとかやっていて、長引いた気がします……。

伊藤 本当に後で良いのです。まずは冷やしましょう。

北原 実際の治療方法はどれくらいあるんですか?

伊藤 痛みの研究はすごく進んでいます。昔は痛い=休むという静的なやり方しかなく、痛み止めも大したものはなく、飲んでも効かなければ我慢しろ、年だから我慢しろ、という時代だったのです。今は、痛みはとろうと思えばとれる時代です。ほかに動的なやり方として、パワーリハビリ、筋トレなどは、休んでいるよりも痛みがとれる、という方法もあります。

北原 痛み止めの進化ですね。休んでいるよりも痛みが取れるというのも最近はよく聞きますね。昔はぎっくり腰は絶対安静でしたが、今は違う、軽い体操で良いから少しずつ動かして治していくって。

伊藤 ですが、症状によりけりなのも忘れてはいけません。圧迫骨折している人に動けとは無理です。老人は、「いつのまにか骨折」といって、咳や鼻をかんだだけで折れてしまいます。骨粗しょう症など原因はいくつか考えられますが、そんな人は揉んでいること自体が問題です。

北原 そうですね。高齢者の腰痛と、働き盛りの腰痛は原因からして違いますからね。

伊藤 だから、診断がつけば、骨粗しょう症なら、骨密度をあげる治療をし、骨折は骨をくっつける超音波の機械(=先進医療:超音波骨折治療法)もあるので、治療が可能になります。昔にみたいに休んでいるだけで治るなんて治療ではありません。せっかくラボがあるなら、症状を調べて、それに応じた治療法があるということを啓蒙してほしいです。

北原 もちろんです。読者の方も青天の霹靂! と思うんじゃないですか?

伊藤 痛みに対して、「薬を飲むほど痛くない!」という人がいるが、痛みの研究が進んでいて、痛みが痛みを呼ぶというのが事実です。咳をしたら、咳止めを飲むように、症状がきれるので確実によくなります。痛みが痛みを呼ぶのは、痛みの回路ができるからです。痛みを放置すると痛みの回路ができて、ちょっとしたことで痛みがでます。有名な研究で、100匹の腰痛ネズミで比較しました。何もしない50匹、もう50匹には痛み止めを飲ませました。何もしなくても治るネズミもいれば、痛み止めを飲んでも治らないネズミもいました。

北原 どこか違ってくるんですか?

伊藤 何が違うかというと、慢性化率、難治化率、再発率です。ようするに、痛みを放置することで回路ができ、薬を飲んだネズミのほうが慢性化(いつまでもずっと痛い)、難治化(薬を飲む、湿布を貼る、リバビリや注射などをやってもなかなか治らない)といった割合が減りますし、再発率も全部が減ります。だからこそ痛みがあったら、すぐに痛みを切ることが重要です。

北原 痛いのを我慢すると痛いままでいられるという記憶みたいなものが生まれて、それで痛くてもこれが当たり前になる。それが症状を悪化させるけれど、痛みをなくすことで、また出てきた痛みに対処しようとする、それが原因根絶にもつながるという感じでしょうか?

伊藤 どちらかというと、薬を飲むほど痛くない! ではなく、痛みを出さないほうが今はメインです。例えば、ゴルフにいって痛くなるのなら、ゴルフに行く前に薬を飲んで、痛みを出さないようにし、どうせ明日痛くなるのなら、マッサージ、湿布を貼るなどの工夫ができます。それにより痛みの回路をたつことができるんです。私自身、腰痛はないのですが、MRIを撮ったら腰にヘルニアがあったんです。側湾もあるのですよ。新しいMRIを買ったときに誰か試しに撮ってみようという時に判明しました。

北原 ヘルニアがあるのに、腰痛がないなんてあるんですか?

伊藤 私はテニスをするのですが、痛みにならない工夫をします。これによって、腰痛にならないわけです。

北原 精神的な問題?(笑)

伊藤 これも医学の力です。テニスをした後は痛いかなと思うので、日頃から痛みが出ない工夫をして気を付けています。テニスに行く前に痛み止めを飲んだり、飲むのを忘れてもカラダが冷えると痛くなるので、湿布を貼ったり、ちゃんとストレッチをして寝たりしています。薬を飲むほどまで痛くないから放置するという事が一番だめです。

北原 なるほど。

というわけで前半終了です。伊藤先生のお話はわかりやすく、しかも、患者さん本位。もちろん、患者に医療を施してほしいという意思がなければ、治療はできない。だけれど、これを読んだみなさん、医者に行くのは無駄なんて思わないでください。最新医療が腰痛持ちを待っていますよ。
先生はアーユル チェアーを診療中もお使いだったが、次回はまずは姿勢と腰痛の関係から伺い、さらなる最新医療の現場に関して伺ってみたいと思う編集長であった。

Toru Kitahara (Portrait Photographs & text) , Youtsu Lab staff(Exercise and more photographs)

洗足整形-形成外科
TEL:03-5704-7733
伊藤大助氏(洗足整形-形成外科 院長)
整形外科、形成、美容皮膚科を併設。伊藤院長を中心として、最新リハビリ機器と理学療法士、スポーツトレーナー、鍼灸師、柔道整復師
などの専門スタッフが連携をとり合いながら、悩みに応じたハイレベルな治療を提供。
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